やることが目白押し! 起業するまでに必要な準備や手続きまとめ

このページをご覧になっている皆さんは、少なからず「起業」に興味がおありかと思います。日本政策金融公庫総合研究所の調査によると、18歳~69歳の男女(職業問わず)で「起業に関心がある割合」は14.3%、実際に起業している割合は1.5%でした(2011~2016年)。
一方、中小企業白書2017年度版では、起業希望者に対する起業家の割合を調査。2017年にはその割合が20%を超えました。
「社会全体に占める起業家割合は多くないものの、目指している人は高い確率で起業している」と言えますね。
現代は官民ともに起業家支援のサービスが次々生まれているため、起業しやすい風土になっているのかもしれません。
実際に起業するには、どのような準備が必要になってくるのでしょうか。

開業資金を用意する

起業をしない理由の多くが、お金への不安に因るものです。逆に言えば、ここをクリアすれば起業へのハードルはぐっと下がります。

何にお金がかかるのか

パソコンなどの通信機器、コピー機などの事務用品は最低限必要となるでしょう。ホームページや名刺もあると良いですね。一般的にはこれらに加えて事務所や店舗を借りるでしょうから、賃貸費用や保証金が必要になります。開業手続きに税理士など専門家の力を借りるのなら、その費用も必要です。
忘れてはならないのが運転資金です。売上が上がるまでの間、事業継続と生活を賄えるだけの資金が必要になります。

どこから用意するのか

開業資金は大きく分けて「自己資本」と「他人資本」の2種類です。
「自己資本」は自分の貯蓄や賛同者からの出資、購入型や寄付型のクラウドファンディングなど、返済の必要のない資金です。
「他人資本」は家族や友人・金融機関からの借り入れです。金融機関からの借入れには審査があり、不動産や保証人などの担保を求められることもあります。
借り入れをするのなら自己資金は最低限で良いかというと、そうではありません。なぜなら自己資金額が多いほど、有利な条件で融資を受けることができるからです。
日本政策金融公庫の制度も上手に利用すると良いでしょう。一般的な融資とは異なり、過去の経営実績が問われないのが特徴です。
日本政策金融公庫

どこに相談すればいいのか

融資や手続きについて一人で調べるのはとても大変です。地域の商工会議所や情報サイトの創業支援サービスを利用すると良いでしょう。
起業後も従業員の雇用や確定申告など、考えなくてはならないことが目白押しです。
下記に紹介するサービスでは、起業前の準備段階から起業後に直面する問題まで、お金に関することを幅広くアドバイスしてくれます。

未来の起業★応援サイト「ミラサポ」

https://www.mirasapo.jp/
中小企業庁から委託を受けた民間企業が運営する情報サイト。
市区町村と民間の創業支援事業者(地域金融機関、NPO法人、商工会議所・商工会など)が連携して運営する、地域のワンストップ相談窓口を紹介しています。

経営課題を解決する羅針盤「J-Net21」

https://j-net21.smrj.go.jp/
中小企業基盤整備機構が運営する、中小企業向けの情報提供サイト。旬のキーワードから最新情報をチェックできるので、世の中の動きがひと目で分かります。
助成金や補助金をはじめとした融資情報は、都道府県別に見やすく整理されています。

地域の商工会議所・商工会

https://www.tokyo-cci.or.jp/(東京商工会議所)
創業時に使える公的融資制度についても詳しく、セミナーも実施しています。
経営者が多数登録しており、事業スタート後も人脈作りなどに利用できるサービスが揃っています。

事業計画・ビジョンを改めて確認

起業家は夢や志があるからこそ、リスクを負ってまで起業します。
そもそも起業する価値があるものなのか、最終目標はどこにあるのか、改めて頭の中で整理してみてください。

そのアイデアにはニーズがあるか

それが市場にあるジャンルならば、競合相手を調査して評価しておきましょう。そこから自社の優位性を見つけ、サービス内容を練って適切な価格設定をしていきます。
まだ世に無いものならば、無限の可能性を秘めています。しかし良いアイデアを思いついても、誰にも必要とされなければ事業は成り立ちません。
ビジネスモデルを作るには時間がかかります。アイデアにこだわりは持てど固執しすぎない柔軟な視点が重要です。

1人なのかチームなのか

ある調査によると、1人で起業する人はチームで起業する人たちと比べ、事業成功までに3.6倍の時間がかかるのだそうです。1人でできることには限界があるということでしょうか。
業種にもよりますのでチーム起業が最良とは言い切れませんが、従業員を雇用しなくても外部や家族の協力が必要になることもあるかもしれません。現代ではビジネスチャットやWEBサービスもありますから、1人起業家同士で協力できる体制を作っておくのも一案ですね。

何がしたくて起業するのか

起業のその先まで見据えて「何がしたいのか」を自分に問いましょう。大企業を作りたいのか、得意分野を形にしたいのか、社会貢献したいのか、大金をゲットしたいのか。それは人それぞれです。
事業の軸とビジョンを頭の中で整理しておくと、事業を始めてから迷いが生じません。

情報収集・人脈作りをする

これまでの経歴とは異なる業種を始める場合、ゼロから人脈を作っていくことになります。
同業種の場合でも元職場とのつながりには頼らず、新たに人脈を作れれば可能性も広がります。せっかく起業したのに元職場の従業員として見ていた世界から抜け出せないのは、もったいないですからね。
たとえばSNSを活用したり、交流会に参加してみてはいかがでしょうか。

LinkedIn

https://jp.linkedin.com/
ビジネスネットワークに特化したSNSです。興味のある業界を登録すると、その業界のトップリーダーのセミナー情報や最新情報を受け取ることができます。
フォロワーたちの意見交換も活発なので、刺激を受けて勉強にもなりますね。

異業種交流会

異業種が集まるので、自分の知らない世界の話を聞けるのが魅力です。事業アイデアのヒントを持ち帰られるかもしれません。
自治体や商工会議所から民間企業まで、幅広く開催されています。サラリーマンの間に参加できるものもあるので、募集要項などを見て雰囲気の合いそうなものから参加してみてください。

個人事業主か法人化か選択

起業するにあたっては個人事業主という選択もありますが、法人化すると得られるメリットもあります。

社会的信用が得られる

法人としか契約を結ばない会社もありますし、融資や助成金・補助金を受ける際も法人である方が有利になっています。

社会保険に加入できる

健康保険には傷病手当や出産手当制度があり、年金は厚生年金になるので将来受け取れる年金額が多くなります。

節税がしやすい

個人事業主より法人の方が経費として計上できる範囲が広く、利益が大きく出た際には法人の方が支払う税金が少なくなります。

法人登記をする

ここでは法人化を前提とした手順をご紹介します。
羅列するととても大変そうに見えますが、インターネット上で書類のテンプレートも入手できますし、1つずつ進めればつまづくことは無いでしょう。ですが時間がかかることは確かです。漏れがないかチェックしてもらうためにも、司法書士や税理士、社労士の力を借りれば安心です。
起業後にも様々な手続きが生じますので、事業所の近くで信頼できる事務所を探しましょう。小規模事業やベンチャー企業のスタートアップに多く携わっている事務所がおススメです。

会社の基礎となる部分を決める

まずは会社の顔となる社名を決めます。起業前から皆さんあれこれ考える部分ですね。
次に事業目的です。これまで練ってきた事業プランを明確にし、これは定款にも記載します。
定款に記載する事業目的に上限は無いのですが、10件以下が推奨されています。
ここで本社所在地はも決めるのですが、後に事業所を移転する場合は定款も変更しなくてはなりません。長期的に使えるところに決めましょう。
資本金は1円でも会社設立は可能です。ですが信頼面でのデメリットも無視できません。慎重に決めていきましょう。

定款を作成し、認証を受ける

上記で決めた内容を元に定款を作成します。

  • 1.定款 3部
  • 2.発起人全員の3ヶ月位内に発行された印鑑証明書 各1通
  • 3.発起人全員の実印
  • 4.認証手数料 5万円(現金)
  • 5.謄本代 250円×定款のページ数(現金)
  • 6.収入印紙 4万円分
  • 7.委任状(代理人が申請する場合)

これらを用意し、本店所在地がある公証役場に連絡をして訪問の日時を決めます。
当日の認証にかかる時間は30分程度で終了します。
定款を電子認証で手続きすることも可能です。
電子認証用の定款を作る際にソフトウェアが必要ですが、4万円分の収入印紙代がかからないというメリットがあります。
電子認証用の定款には電子署名が必要ですが、この際マイナンバーカードが必要です。
紙での申請に比べ事前準備や手続きに時間がかかるため、行政書士に代行してもらう起業家も多いようです。

資本金を振込む

定款の認証が確定した日以降に資本金を振り込みます。
振込後に通帳のコピーが必要ですし振込金額がも大きいので、銀行窓口で手続きをするのが安全です。

法務局で登記申請をする

いよいよ法務局で登記申請です。

  • 1.登記申請書
  • 2.登録免許税分の収入印紙を貼り付けたA4用紙
  • 3.定款
  • 4.発起人の決定書
  • 5.取締役の就任承諾書
  • 6.代表取締役の就任承諾書
  • 7.監査役の就任承諾書
  • 8.取締役の印鑑証明書
  • 9.資本金の払込みを証明する書類
  • 10.印鑑届出書
  • 11.登記すべきことを保存したCD-R

取締役と監査役の状況によっては不要のものもありますが、これらを用意して法務局で登記します。

各所に届け出をする

ここまで進んだらもうひと踏ん張りです。

税務署に届け出をする

企業として国に税金を納めるため、その手続きを行います。

地方自治体に届け出をする

次に事業を営んでいる都道府県・市区町村に税金を納めるため、その手続きを行います。

年金事務所に届け出をする

社会保険の加入について年金事務所に届け出をします。
一人社長に給料を支払えない場合など特殊な場合を除き、加入は必須です。

労働基準監督署とハローワークに届け出をする

開業と同時に従業員を雇う場合は、上記に加えて労働基準監督署とハローワークにも労災保険についての届け出をする必要があります。

まとめ


起業準備を全て一人でやろうとするとなかなか大変です。事業計画や自己資金の準備は起業家として責任をもって行うべきですが、自分だけで行き届かない部分は、外部やサービスの力をうまく借りましょう。
特にお金の貸し借りは、家族や友人と言えどトラブルの元になりかねません。見通しが甘いと早々に資金繰りに行き詰ってしまいます。専門家の知恵を借りながら、無理のない経営を目指しましょう。
準備は大変ですが、いざ起業したらあとは前に進むのみです。今あなたの頭の中にあるアイデアは、世の中の誰かが待ち望んでいるサービスの種かもしれませんよ。